『ジョジョの奇妙な冒険』第6部「ストーンオーシャン」のラスボスであるエンリコ・プッチ神父。
プッチ神父は、なぜ空条徐倫たちと敵対し、「天国」を目指したのでしょうか。
実はプッチの目的は、単に世界を支配することではありません。
親友だったDIOから「天国へ行く方法」を託され、それを実現することで、人間が自分の運命をあらかじめ知り、未来に起こることを覚悟できる世界を作ることが目的でした。
この記事では、プッチ神父の目的と、DIOが残した「天国へ行く方法」を順番に解説します。
プッチ神父が目指した「天国」とは?
まず重要なのは、プッチが言う「天国」が一般的な宗教上の天国とは違うことです。
プッチが目指したのは、
「すべての人間が自分の運命を知り、その運命を受け入れることができる世界」
です。
人間は未来が分からないからこそ、不安や恐怖を感じます。
しかし、未来に何が起こるのかをあらかじめ知っていれば、どんな出来事が待っていても「覚悟」することができます。
プッチは、これこそが人間にとっての幸福だと考えていました。
つまりプッチにとって、
幸福=自分の運命を知り、それを受け入れること
だったのです。
プッチ神父とDIOの関係
プッチが「天国」を目指すようになった最大の理由は、DIOとの出会いです。
プッチとDIOは親しい友人でした。
DIOはプッチに、自分が研究していた「天国へ行く方法」について話します。
そして、その方法を記したノートを残していました。
しかしDIOは第3部で空条承太郎に敗北します。
その後、承太郎はDIOのノートを発見しますが、その内容が危険だと判断して焼却しています。
ただし、承太郎はノートの内容を記憶していました。
そこでプッチは、承太郎の記憶を「DISC」として抜き取り、DIOの計画を知ろうとします。(ジョジョウィキ)
「天国へ行く方法」はDIOの計画だった
ここで重要なのが、「天国へ行く方法」はプッチが自分で考えたものではないということです。
もともとはDIOが考えた計画です。
DIOは「天国」に到達するために、いくつもの条件をノートに残していました。
そしてプッチは、その計画を実行する役割を担います。
大まかに整理すると、
DIOの理論
↓
プッチが必要な条件を集める
↓
スタンドを進化させる
↓
メイド・イン・ヘブンを完成させる
↓
時間を加速させる
↓
宇宙を一巡させる
↓
人間が自分の運命を知る世界を作る
という流れです。
「天国へ行く方法」の条件
DIOのノートには、天国へ到達するために必要な条件が記されています。
特に重要なのが、
- DIOのスタンド「ザ・ワールド」
- 信頼できる友
- 極罪を犯した36人以上の魂
- 「14の言葉」
- 新月
- 特定の場所
などです。
ただし、DIOはすでに死亡しているため、プッチはDIOのスタンドそのものを使うことができません。
そこで、DIOの「骨」を利用することになります。
36人以上の罪人の魂が必要だった理由
DIOの計画には、36人以上の罪人の魂が必要でした。
プッチはグリーン・ドルフィン・ストリート刑務所にいる囚人たちを利用します。
DIOの骨に36人以上の罪人の魂を吸収させることで、「緑色の赤ちゃん」が誕生します。
この緑色の赤ちゃんが、天国へ行くための重要な存在になります。
「14の言葉」とは?
DIOの計画には「14の言葉」も登場します。
これは緑色の赤ちゃんを引き寄せ、プッチとの融合につなげるために必要な言葉です。
作中では、
「らせん階段」
「カブト虫」
「廃墟の街」
など、14個の言葉が登場します。
これらは単なる暗号ではなく、DIOの計画を実行するための重要な条件でした。
プッチはこの「14の言葉」を使って緑色の赤ちゃんを引き寄せ、融合します。
プッチのスタンドは「ホワイトスネイク」から進化する
プッチの最初のスタンドは「ホワイトスネイク」です。
ホワイトスネイクは、人間の記憶やスタンド能力をDISCとして取り出す能力を持っています。
その能力によって、プッチは承太郎の記憶DISCを奪いました。
その後、緑色の赤ちゃんと融合することで、スタンドは「C-MOON」へと変化します。
さらに、ケープ・カナベラルで最後の条件を満たすことで、C-MOONは最終形態である「メイド・イン・ヘブン」へと進化します。(ジョジョウィキ)
つまり、
ホワイトスネイク
↓
C-MOON
↓
メイド・イン・ヘブン
という3段階の進化が、プッチの「天国へ行く方法」の完成につながっています。
メイド・イン・ヘブンの能力
メイド・イン・ヘブンの能力は、時間を加速させることです。
しかも、単純にプッチだけが速くなるわけではありません。
宇宙全体の時間が加速していきます。
プッチはこの能力によって時間を加速させ続け、最終的に宇宙そのものを一巡させようとします。
これが、プッチの「天国」の完成に必要な最後の段階です。
なぜ世界を一巡させるのか?
ここが「天国へ行く方法」で最も分かりにくい部分です。
プッチは世界を一巡させることで、人間が自分の運命を知ることができる状態を作ろうとしました。
つまり、
「明日何が起こるか分からない」
という状態から、
「自分がどのような運命をたどるのか知っている」
という状態へ変えようとしたのです。
たとえば、自分にとって辛い未来が待っていたとしても、それを事前に知っていれば覚悟できます。
プッチは、その「覚悟」こそが幸福だと考えていました。
プッチ神父は世界征服をしたかったの?
これは誤解されやすいところです。
プッチの目的は、一般的な意味での「世界征服」ではありません。
「自分が世界の王になる」
「人類を支配する」
という目的ではありません。
プッチ自身は、人類全体を「運命を受け入れられる存在」にすることが目的だと考えています。
ただし、そのために本人たちの意思を無視して運命を決めてしまうため、徐倫たちからすれば到底受け入れられない思想です。
プッチ神父が徐倫たちを敵視した理由
プッチにとって、ジョースター家はDIOの計画を邪魔する存在でした。
特に承太郎は、DIOを倒した人物です。
そしてプッチは、承太郎からDIOの「天国へ行く方法」を知りました。
そのため、承太郎の記憶を奪うことが計画の重要な第一歩になります。
さらに最後には、徐倫たちを倒して計画を完成させようとします。
プッチにとっては、徐倫たちを排除することも「天国」を実現するための一部だったのです。
プッチ神父にとって「覚悟」とは何だったのか?
第6部を理解するうえで、最も重要なキーワードの一つが「覚悟」です。
プッチは、
「未来を知らないことが、人間を不安にさせる」
と考えています。
だからこそ、
「未来を知っていれば、人間は覚悟できる」
という思想にたどり着きました。
しかし、ここには大きな問題があります。
未来を知ってしまえば、人間は本当に自由なのでしょうか?
自分が明日死ぬと知っていたら、その未来を変えようとすることはできるのでしょうか?
プッチは「運命を知って受け入れること」を幸福だと考えました。
一方、徐倫たちは「運命に立ち向かうこと」を選びます。
この対立が、第6部の大きなテーマになっています。
プッチの計画は成功したのか?
一度は成功します。
メイド・イン・ヘブンによって時間を加速させ、宇宙を一巡させることには成功しました。
しかし、最終的にはエンポリオによって倒されます。
エンポリオは、徐倫たちから託されたウェザー・リポートのDISCを利用してプッチを倒します。
その結果、プッチが存在することを前提とした「天国」は完成しません。
そして、プッチの存在しない新しい世界へとつながっていきます。
プッチ神父の目的は「幸福」だったのか?
ここがプッチというキャラクターの面白いところです。
プッチ自身は、自分が悪事を働いているとは考えていません。
むしろ、
「人類を幸福にするために行動している」
と信じています。
しかし、その幸福を人間自身に選ばせるのではなく、プッチが「これが幸福だ」と決めています。
つまり、
「幸福とは何かを自分で決める自由」
を奪ってしまっているのです。
この点が、プッチの思想の最大の矛盾だと考えられます。
エンポリオがプッチを倒した意味
最終的にプッチを倒すのは、圧倒的な強さを持つ承太郎でも徐倫でもありません。
エンポリオです。
これは第6部のテーマを象徴しています。
プッチは「運命は決まっている」と考えました。
しかしエンポリオは、仲間たちから受け継いだ意志によって、その運命に抗います。
徐倫たちが命を落としても、その意志は消えません。
エンポリオへと受け継がれ、最後にはプッチを倒す力になります。
つまり第6部では、
「決められた運命を受け入れること」
ではなく、
「自分の意思で未来を選ぼうとすること」
が描かれているとも考えられます。
まとめ
プッチ神父の目的は、単純な世界征服ではありません。
DIOが残した「天国へ行く方法」を実行し、人類が自分の運命をあらかじめ知り、その運命を覚悟できる世界を作ることでした。
そのためにプッチは、
DIOのノートを知る
↓
36人以上の罪人の魂を利用する
↓
緑色の赤ちゃんを誕生させる
↓
14の言葉によって融合する
↓
C-MOONを発現する
↓
メイド・イン・ヘブンへ進化する
↓
時間を加速させる
↓
宇宙を一巡させる
という計画を実行しました。
しかし、最後にはエンポリオに倒され、プッチの「天国」は完成しません。
プッチが考えた「幸福」は、運命を知って受け入れること。
それに対して徐倫やエンポリオが示したのは、運命が決まっているとしても、自分の意思で未来に立ち向かうことでした。
この対立こそが、第6部「ストーンオーシャン」のラストを理解するうえで重要なポイントです。



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